筑水:ちくすい

来歴:「豊水」×「八幸」
樹勢は中位で「二十世紀」「新水」ほど強くはない。枝の発生密度及び太さは中、節間は短く「豊水」に似て新梢の先端がわん曲する傾向がある。幼葉は毛じ少なく「新世界」のような鮮やかな緑色である。成葉は卵形で、葉柄は短く、葉色は濃緑色である。えき花芽及び短果枝の着生はともに中程度であり、短果皮の維持は「幸水」よりも良好で「豊水」と同程度である。つぼみの色は白色で開花後も白色である。花弁は卵形で大きく、花弁数は約5枚である。やくの色は紅色で、花粉は健全である。開花期は「幸水」「八幸」とほぼ同時期で「豊水」より約3日~4日遅い。果実の成熟期は「新水」と同時期かやや早く、関東地方における収穫期は8月上中旬である。果形は扁円形で、玉ぞろいが良好で、果形の乱れは少ないが、果面に軽度の凹凸を生ずることがある。果皮色は赤褐色の赤ナシで、1果重は250g~300gで「幸水」程度の大きさである。果梗はやや短かい。果肉は白色で、肉質はち密である。果肉硬度は4.7ポンドで「幸水」程度に軟らかい。果汁は屈折計示度は11.5%~13%で「幸水」と同程度で、pHは5.0以上で「新水」と比べ酸味は少なく、食味は優れている。渋味は少なく、特異な香りがわずかに感じられる。果肉にはみつ症状の発生はほとんどなく、また心腐れの発生も認められない。日持ち性は25℃で果実を保った場合、5日~7日間とやや短い。黒斑病には抵抗性でナシえそ斑点病には病微非発現性である。また圃場観察によると胴枯病に対しては「幸水」より強いと思われる。収量に関しては十分明らかにされていないが、えき花芽、短果枝ともに中程度に着生することや1果重などから判断して「幸水」と同程度の収量は十分望めると考えられる。

「種苗法登録果樹品種一覧」より